第643号【梅雨から健やかな夏へ】

 梅雨末期の記録的な大雨による災害で、被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。一日も早くふだんの暮らしに戻れますようお祈りいたします。

 

 九州は、そろそろ梅雨明け。長崎では夏の花、ノウゼンカズラが開花しはじめました。猛暑の中、たくさんの花をつけるノウゼンカズラ。明るい色合いが美しく、見かけると元気をもらえます。そんな容姿にちなんでか、花言葉は、「豊富な愛情」「華のある人生」など。原産は中国で、平安時代に薬用として日本に伝えられたそうです。この時期はオニユリも開花。花びらの茶色の斑点が特徴的です。オニユリは葉の根元に黒いムカゴをつけます。それが土に落ち、次の世代につながるのです。ちなみに、オニユリのムカゴも、ヤマイモのそれのように食べられるらしいのですが、苦味があるそうです。




 

 7月を迎える前に各地で30度越えの真夏日が記録されました。年々暑さが厳しくなるこれからの季節を、健やかに快適に乗り切るために、こまめな水分補給はもちろんのこと、部屋のカーテンを遮熱タイプに変えたり、冷感素材のタオルや寝具を使ったりなど、あれこれ対策をはじめている方も多いことでしょう。なかには、最寄りの神社の「夏越の祓(なごしのはらえ)」で厄除けを行った人方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 全国各地の神社で630日に行われる「夏越の祓」。この日、境内には大きな「茅の輪(ちのわ)」が設えられ、参拝者は、『水無月の夏越の祓へする人は千歳の命延ぶというなり』という和歌を唱えながら、「茅の輪」を8の字を描くようにくぐります。この「茅の輪くぐり」をすると、今年半年間の穢れが祓われ、夏場の災厄も免れ、残りの半年を無病息災に過ごすことができると古くから伝えられています。

 

「夏越の祓」の行事は、神社によってくぐり方の作法や行われる時期に、違いがあります。長崎の諏訪神社(長崎市上西山町)の場合は、630日と翌71日の2日間。淵神社(長崎市淵町)は6月30日から7月初旬まで行われています。






 

 今回、久しぶりに淵神社へ足を運んだので、隣接する長崎ロープウェイの「淵神社駅」から、ゴンドラに乗って稲佐山の山頂(標高330m)へ行ってみようと思ったのですが、7月14日まで点検のため運休中でした。そこで、急きょ、「長崎稲佐山スロープカー」を利用することに。乗車駅は、稲佐山中腹の稲佐山公園にあります。




 

 2020年1月に誕生したスロープカー。稲佐山の尾根を行くレールは、山頂まで約8分間。全方位を見渡すスロープカーの快適な乗り心地のなかで、近年大きく変わりつつある長崎市街地と、五島灘の眺望を楽しみました。このときスロープカーに一緒に乗り合わせた方が、「長崎は、夜景の美しさはよく知られていますけど、茜色の夕日を浴びたまちの景色も、とてもきれいなんですよ」と教えてくれました。長崎の市街地の西側に位置する稲佐山。地元の多くの人が夕焼けに包まれる稲佐山を見上げることはあっても、逆の景色を見る機会はなかなかありません。梅雨が明けたら、あらためて、茜色に染まった長崎の街を眺めに行こうと思います。





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