第644号【乗り越えて、平和へ】

 残暑お見舞い申し上げます。キョウチクトウが美しい花を咲かせています。きのう8月8日は立秋で、暦の上では秋を迎えました。この夏はとにかく暑すぎて、外出もままならないという方も多いよう。そんななか、近頃はひんやりとした夜風が吹くようになりました。昼の暑さが厳しいだけに、かすかな秋の気配がとてもうれしい。とにもかくにも、体調管理と台風災害への備えを万全にして、無事に乗り越えていきましょう。


 

 この夏、各地では新型コロナの影響で中止になっていたイベントが次々に再開しています。長崎の夏の風物詩、「長崎ペーロン選手権大会」も4年ぶりに開催されました。「長崎ペーロン」は、江戸時代から続く長崎の伝統文化のひとつです。長崎の津々浦々で継承されているペーロンチームや職域チームが、長崎港を舞台に熱いレースを繰り広げました。





 地元のペーロンチームは、いずれも古くから漁港を中心に栄えた地域にあり、今年「一般レース」で優勝した野母崎チームも漁業が盛んなところです。野母崎は、長崎半島の最先端にある地域で、美しいビーチが点在するエリアとしても知られています。ということで、夏らしい景色を求めて野母崎へ行ってきました。

 

 長崎市街地から南へ伸びる長崎半島。緑豊かなこの半島を囲むのは五島灘、東シナ海、橘湾、天草灘。半島の最先端をめざして海岸沿いの車道を南下する途中、岳路海水浴場や高浜海水浴場などの美しい浜辺、ダイナミックな自然美を感じる海岸の岩場、そして沖合に浮かぶ軍艦島(端島)の景色が楽しめます。

 

 野母崎エリアに入り、まず降り立ったのは、「長崎市恐竜博物館」(長崎市野母町)そばの海岸です。潮が引いたときに歩いて渡れる「田ノ子島」が目の前に。海岸には、夏休みの自由研究にしたくなるような個性的な模様の石やかわいい貝殻がたくさん。ちなみに、野母崎では、九州でもっとも古いといわれる「変はんれい岩」が見られるそう。この海岸の岩場もかなり古い地層の現れと思われました。





 さまざまな文様の小石を楽しんでいるとき、海岸に流れ込む小さな水流で、かわいい野鳥と遭遇しました。遠目にはスズメのようでしたが、よく見ると、「トウネン」でした。「トウネン」は、シギの仲間のなかでは、もっとも小型。名前は「当年(とうねん)、生まれたばかりと思うくらい小さい」ことに由来するそうです。





 

 「長崎市恐竜博物館」前から、さらに南下して、脇岬海水浴場へ。ここは、1.3Kmも続く白砂の浜で、干潮時には波の浸食でつくられた自然の棚瀬(ビーチロック)が見られることでも知られています。マリンスポーツが盛んのようで、この日は、サーファーとボードセーリングを楽しむ人の姿がありました。このビーチをよく利用しているという方の話によると、いまでは「海の家」が1軒だけになったこともあり、海水浴客はひと頃より減っているそうです。

 

 真夏の空と脇岬の海岸の景色は、とても美しく、波音とともにしばらくその景色を楽しみました。この平和な海や空とつながる国で、まだ争いが続いていることを思うと悲しい気持ちになります。きょうは89日。78年前、長崎に原爆が投下された日です。原爆で亡くなられた方々のご冥福を祈るとともに、一日も早く世界中に平和が訪れることを願います。


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