第646号【秋だ!祭りだ!】

 10月に入ってから、中島川ではキセキレイ、ハクセキレイが活発に飛び回る姿を目にするようになりました。ようやく、秋めいて過ごしやすくなってきましたね。食や催しなど、何かと楽しみの多いこの季節を存分に楽しみたいものです。

 

 長崎くんちが4年ぶりに開催されました。今年の踊町(おどりちょう)は、桶屋町(本踊)、船大工町(川船)、栄町(阿蘭陀万歳)、本石灰町(御朱印船)、丸山町(本踊)、万屋町(鯨の潮吹き)の6ケ町。踊町の役割は、本来なら7年毎に回ってきますが、新型コロナの影響で、今回10年ぶりの演し物の披露となりました。

 

 10789日の本番を前に、103日には、「庭見世(にわみせ)」が行なわれました。これは、踊町が傘鉾(かさぼこ)をはじめ、本番で使う衣装や道具、贈られたお祝いの品々などを披露する催しで、まちはお祭りムードに包まれます。大勢の人々がまちに繰り出し、そぞろ歩きながら見物して回るなか、旧友や知人に久しぶりに再会して声を掛け合うといった光景もよく見られます。ご年配の方々の見物客が多いのも、そうした楽しみがあるからかもしれません。




 

 今年の長崎くんちは、開催期間の3日間のなかで、8(中日)はあいにくの雨に見舞われましたが、7日(前日)、9日(後日)は、薄曇りの間に青空がのぞき、さわやかな秋風が吹きぬけました。長崎くんちは、踊町の多彩な演し物のほかに、諏訪神社にまつられる「諏訪」・「住吉」・「森崎」の3基のみこしを担ぎ渡る「お下り」や「お上り」、そして踊町の旗印である「傘鉾」が練り歩く「傘鉾パレード」や「流鏑馬(やぶさめ)神事」など見所が満載です。今回も、踊り場や沿道の観客から大きな歓声が上がっていました。








 

 長崎市内では、長崎くんちのほかにも、大小たくさんの祭りや伝統芸能が受け継がれています。例年秋に開催されている「長崎郷土芸能大会」は、そうした各地域のさまざまな伝統芸能を一堂に集めて披露しています。第46回目となる今年は、「長崎シャギリ」、「中尾獅子浮立と唐子踊」、「式見女相撲」、「高島鼓響塾(姫大蛇)」、「長崎女子高等学校龍踊」など5つの民俗芸能が登場。会場の長崎市民体育館の観客席はほぼ満席で、多くの市民が楽しんでいました。来年の開催は1110日だそうです。





 地域の歴史や風土がうかがえる伝統の祭りや芸能。いくつもの大きな時代のうねりを乗り越えて、いまに至っているもののなかには、新しい時代の息吹を浴び、新たな表情で歴史を刻みはじめたものもあります。いずれにしても、そこには、人々が失いたくない大切なものがあるよう。時代が大きく変わりつつあるいま、どうしようもなく消えていくものには、ありがとうを。そして、残されたものは、引き続き先人の思いも一緒に次代へ繋いでいけたらいいですね。

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