第648号【2023年、師走】

 ビワやヤツデ、ツワブキなど秋の終わりから冬にかけて咲く花をあちらこちらで見かけるようになりました。とはいえ、師走としては異例の暖かさが各地で続いています。長崎でも12月中旬に入ろうとする頃、二日続きで気温が20度を超えました。冬日和というには暖か過ぎる状況ですが、今週末には本格的な寒波が到来するという予報です。極端な気温差は、思いのほか体に堪えます。体調に気を付けて年末年始を乗りきりたいですね。





 

 この秋、長崎市街地のイチョウの黄葉は遅れ気味でした。例年なら葉を落としているはずの12月に、大音寺(長崎市鍛冶屋町)の大イチョウ(長崎市指定天然記念物)を訪ねると、まだ見頃が続いていました。イチョウの葉は、樹齢を重ねるほど小さくなるそうで、樹齢300年はゆうに超えるといわれるこの大イチョウの葉も小ぶりです。四方に伸ばしたいくつもの枝に、こがね色の葉をびっしりとつけ、老齢の美しさをたたえていました。ちなみにこの大イチョウは、長崎の歴史上の著名人が多く眠る大音寺の後山の墓地の一角にあり、お寺の境内から本堂越しに見上げるとその大きさがよく分かります。



 

 大音寺がある寺町通りの近くを流れる中島川では、この秋冬に寒い地域から渡って来た鳥たちを見かけるようになりました。2年前の冬にはじめて確認したカイツムリを、今年は1羽発見。大人の片手に乗るくらいの大きさで、その毛色から若鳥のようです。大の得意の潜水で採餌に励んでいました。このほか、「ヒッ、ヒッ」と甲高く鳴くジョウビタキ、そして、ここ何年も姿を現さなかったダイサギもやってきました。90センチほどもある真っ白な鳥なので、川面に立つと目立ちます。



 

 さて、師走に入り、五島列島在住の知人が、その日釣ったばかりの魚を急ぎ届けてくれました。3匹の新鮮な魚は、いずれもハタの仲間。「地元では、クエとか、アラとかいうけど、本当の名前は知らん。刺身が、うまかよ」とのこと。調べると、赤いのは「アカハタ」、茶色ベースに赤い斑点は「キジハタ」、茶色斑点は、「シロブチハタ」のよう。刺身は、コリコリとした歯ごたえがあっておいしい。煮付けにすると、どこかカレイに似た風味がして、これまたおいしい。あとは、吸い物や鍋にしていただきました。五島の知人と長崎の海の幸に感謝。



 

 今年5月、新型コロナ感染症が、国民一人ひとりの自主的な取り組みをベースとした「5類感染症」に移行してから、徐々に活気を取り戻しつつある長崎。港にはクルーズ客船の寄港が増えました。長崎駅周辺は、コロナ期間中にも着々と変貌をとげ、新しいホテルや商業ビルが完成。現在は、駅舎から国道202号線へとつながるエリア(かつて高架橋があったところ)に、多目的広場などの整備が進められています。



 

  そして、長崎駅から徒歩圏内の浦上川沿いでは、いよいよ来年10月開業予定の「長崎スタジアムシティ」の建設が進められていました。これは、民間会社主導の再開発事業で、サッカースタジアムを中心に、アリーナ、ホテル、商業施設、オフィスなどが併設。サッカーの試合後などに、大勢の観客たちが浦上川沿いをワイワイ言いながら往来する様子が、いまから想像できて楽しくなります。「長崎スタジアムシティ」は、地元長崎はもとより、国内外の多くの人々を巻き込みながら、長崎の素敵な未来ストーリーを創造していく大きな存在になりそうです。



 

◎本年もご愛読いただき、誠にありがとうございました。

 来たる2024年、皆さま、良い年をお迎えください。

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