第649号【長崎の正月料理】

 この度の能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。そして被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。地震活動が終息し一日も早く平穏な日常がもどりますようお祈りいたします。




 

 年明け最初の話題は、「ナマコ」です。「ナマコ」は冬が旬の海の幸。長崎では正月料理に欠かせません。薄切りにしたナマコに大根おろしを添え、ポン酢やダイダイ、ユズなど好みの香酸柑橘をかけていただきます。ナマコにはその色合いからアカナマコ、アオナマコと呼ばれる種類があり、大村湾のような内海にいるナマコは身がやわらかく、五島灘など外海にいるものは身が固めだといわれています。






 暮れに、親戚から五島産のアカナマコをいただきました。ご存知のようにナマコはぬるりとしているので、包丁がすべらないよう用心しながら内臓を除き薄切りにします。子供の頃、ナマコはその個性的な見た目もあって、本当に変わった食べ物だなと思っていました。コリコリとした噛みごたえはあるものの、明確な味はなく、周りの大人たちに「お腹の掃除をしてくれる」「身体にいい」などと言われながら食べた記憶があります。実際、ナマコは高タンパク質で、アミノ酸やビタミン類も豊富。疲労回復、免疫力アップ、冷え予防などの効果があるらしく、冬の身体にうれしい食材のようです。





 

 長崎生まれの江戸時代の俳人、向井去来は、『尾頭(おかしら)のこころもとなき海鼠(なまこ)かな』という句を残しています。ナマコは尾と頭の区別がはっきりしないと詠んだものですが、去来もまたナマコを変わったヤツだと思っていたのかもしれません。

 

 ナマコのほかに長崎の正月料理として並ぶのが鯨肉です。尾の身、赤身(背中の部分)、ベーコンなど部位ごとにいろいろな種類があります。この正月は、「さらし鯨」(尾びれを薄くスライスして茹でたもの)をいただきました。ちりめんじわのようにチリチリした肉で、酢味噌や酢醤油でいただきます。余談ですが、鯨の流通拠点として賑わった歴史をもつ長崎県東彼杵町出身の知人の実家では、正月の雑煮は鯨肉入りだそうです。



 

 最後に、辰年にちなんで、長崎のまちなかにいる龍をいくつかご紹介します。「龍踊り」でもおなじみの伝説の霊獣・龍は、長崎のまちのいたるところで人々を見守っています。見つけやすいのは、長崎新地中華街でしょうか。中華街入り口の新地橋のたもとに鎮座。そして、中華街の東門にも守り神として青龍が描かれています。ちょっと異色なのが、諏訪神社近くの馬町交差点の西山通り(国道235号線)に設置された龍の電灯です。夜、かわいい表情の龍が高い位置から道路を照らします。さて、2024年辰年の旧暦正月を祝う『長崎ランタンフェスティバル』は、29()25日(日)まで開催されます。どうぞ、お越しください。



 

◎本年もよろしくお願い申し上げます。

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