第650号【2024年長崎ランタンフェスティバル】

 2月初旬の九州は雨の日が続き、気温は平年よりやや高め。雨量は多くはありませんでしたが、何だか菜種梅雨を思わせました。菜種梅雨とは、菜の花が咲く季節(3月から4月初旬にかけて)の長雨をいいます。すでに長崎ではあちらこちらで菜の花が満開なので、本当に菜種梅雨だったかもしれません。




 23日節分の日も、あいにくの雨でしたが、社寺の節分祭には大勢の市民が足を運びました。役目を終えた正月飾りなどを鬼火焚きに投げ込み、しばし火にあたる人々。地震で被災した能登半島に思いを馳せ、無病息災を祈願した人も多かったに違いありません。



 

 例年よりもあたたかな2月となり、いつもなら3月初旬に開花して甘い香りを漂わせる沈丁花も咲きはじめた長崎。そんな天候と3連休が重なったこともあり、『2024長崎ランタンフェスティバル』(29()25日(日)迄)のスタートは多くの人出で賑わいました。今年は4年ぶりの通常開催とあって、催しも充実。長崎の市中心部は15千個ものランタンやオブジェで彩られ、日が暮れると幻想的な雰囲気に包まれています。





 

 新地中華街会場そばを流れる銅座川には桃色のランタンがゆれています。日没間もない紫色の空は桃色のランタンをより美しく引き立てます。一方、眼鏡橋が架かる中島川は、黄色いランタンで彩られています。月を連想させる黄色のランタンが川面にも映り、とてもきれいです。中島川の川沿いには、十二支のかわいいオブジェが設置されていて、干支を順にたどりながら楽しそうに歩く家族連れの姿がありました。










 道沿いに連なるランタンは、催しが行われている各会場へスムーズに人々を移動させる案内役になっています。長々と連なるそのランタンは、さながら龍のようで、道行く人々を見守っているかのよう。目にも温かなランタンを見上げて歩く人々の表情は皆ほころび、偶然隣合わせた方とも、「きれいですね」「いいですね」などと自然に言葉を交わす姿も見られました。





 

 各所に設置されたランタンオブジェは、いずれも伝説の神さまや神獣、歴史上の偉人などをかたどった縁起物。中島川からほど近い長崎市役所新庁舎の玄関前には、魔を除くという伝説の神「鍾馗(しょうき)」のオブジェが設けられていました。このほかチャーミングなオブジェも多いので、お気に入りを探してみてはいかがでしょう。




 最後になりましたが、今年(辰年)の『長崎ランタンフェスティバル』のメインオブジェは、「九鯉化龍」(ジュウリイファーロン)です。新地中華街会場の湊公園に設置されています。高さ約10メートル。荒波を乗り越えた鯉が鯱(シャチ)や龍に変わって行く様子を表現していて、「出世」や「進歩」を象徴しているそうです。どんなにたいへんな状況も、日々できる範囲で少しずつ乗り越え、よりよい明日へと進歩していく。一緒に、そんな年にしましょう。



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