第674号【スミレとカンムリカイツブリ】

 長崎地方の菜の花は、2月中旬に咲きはじめました。長らく少雨状態が続いていましたが、その後、春の嵐とともに断続的に雨が降るように。後から思えば、これが、菜種梅雨だったのかもしれません。菜種梅雨とは、3月中旬から4月にかけて降る、春の長雨のこと。菜の花の咲く時期と重なるため、そう呼ばれるようになりました。早々と春の雨の季節を終えた長崎は、三寒四温で着々と次の季節へ移行中です。



 

 まちを歩けば、色とりどりの春の花々が気分を上げてくれます。長崎市役所の19階展望フロアへ、スミレの咲き具合を見に行きました。ここには、数本のサルスベリの木が植えられた庭園があり、春になると庭園の土にもともと混ざっていたと思われるスミレが一斉に花を咲かせます(スミレの種は土作りの際に使われることがある)。庭園の芝生は、まだ冬枯れ状態でしたが、その合間から元気に多くのスミレが咲いていました。




 3月初めの雨上がり、長崎港湾沿いを歩いていると、海上に浮かぶ鳥の小群れに気付きました。ときおり細長い首を伸ばし、ひんぱんに潜水しては小魚をくわえて上がって来ます。図鑑で調べると、カンムリカイツブリという水鳥で、中島川に冬鳥として渡って来ることがある「カイツブリ」の仲間であることがわかりました。大きさは、マガモよりやや小さいくらい。今回、見かけた個体の羽毛の色は、ベースは白、背中は灰色、そして、頭頂部は黒く、名前の通りカンムリのようでした。




 ネットで調べると、カンムリカイツブリは、「北海道から九州まで分布する鳥」で、長崎県では、「冬鳥として秋から春にかけて飛来」、「宇久島、福江島、長崎市野母崎樺島などで確認されている」とありました。かつては、冬にユーラシア大陸からやって来る渡り鳥だったそうですが、近年、日本で繁殖する群れも現れ、留鳥となっている地域もあるとか。今回、長崎港で見かけた小群れは、そろそろ温かくなって来たので、北へ帰る途中だったのかもしれません。




 この春、長崎港界隈には、もうひとつ注目の話題があります。「大浦海岸通り」に面した場所に建つ「旧長崎英国領事館」(国指定重要文化財)です。なんと11年にも渡る保存修理を終えて、今年1月末に開館しました。明治41年(1908)建造の赤レンガ造り。均整のとれた外観デザインで、正面左右の2階部分に設けられた丸窓が、目のように見えて親しみを感じます。建物は、戦後、長崎市が購入。児童科学館や野口弥太郎記念美術館として活用されました。




 設計は英国人、建設は日本人技術者たち。一見、西洋風ですが、屋根は瓦が使用され、和洋の建築文化が調和した建物です。本館1階は、領事事務室、書記室、応接間、食堂など。階段や床、調度品など、古き良き英国のしつらえを体感できます。壁の色やタイルなどは、可能な限り建築当初の姿を目指して施工されています。仕事の丁寧さは素人目にもわかるほどで、当時の日本人技術者と、今回の保存修理に携わった現代の技術者に敬意を表したくなります。

 居留地時代の長崎の様子が垣間見える旧長崎英国領事館。何度も訪れ、じっくり味わいたい、長崎観光おすすめスポットです。




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